観音堂の前にある巨樹で、山口市発行の『山口市の文化財』によると、「根元の周囲は十二・七メートル、目通り(地上より約一・五メートル)では六メートル。樹高約四十五メートルあり、樹形は細かい枝が直立し、または垂れ下がってよく整っていて、ことに秋の葉が黄色に色づくころには、遠くからも望見することができ美しい」とある。 昭和十七年七月二十一日に国の天然記念物に指定された。 昭和十八年十一月に文化省から発行された『天然記念物調査報告』「植物之部 第二十輯」によると「三方よく山に囲まれ、よく保護され居る故、山口平原一帯に比類なき高き樹となり、秋期黄葉の時は二、三里を隔てて明瞭に望見することを得。樹高約六十メートル、根元周囲九・七メートル、地上一・五メートルの幹囲六・七メートル、地上約七メートルより枝を出し、各方面に約二十メートル宛展開し、枝下より乳を生ぜり。推定樹齢五五〇年にして、毎年多量の結実をなし、其種子より発芽せるものの中最も大なるは吉敷四ノ宮(赤田神社)にありて、合抱に余る大木に生育しあり」とあって、若干数字が異なるが、これは山口市発行のものの方が正確であろう。 樹齢についても、ほかに九百年説、千百年説などがあり、また、当寺の開山が植えたものであるなどといういい伝えがあるが分からない。国指定の天然記念物の銀杏は、全国で二十六ヶ所あるが、それらのなかで龍蔵寺のものは二番目の高さと古さを誇るものである。 |